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ひと口説法-5 猫の恩返し(日蓮宗新聞)

ひと口説法-5 猫の恩返し(日蓮宗新聞)

 

 當山で、彼岸やお盆の施餓鬼会に参加しては、多くのご先祖に、塔婆供養を重ねて来た老婆Sさんは、国道45号線沿いに民宿を営んでいました。

 

 Sさんは、行き交うトラックなどに轢殺された猫の遺骸を見捨てて置けず、丁寧に葬っては當山で塔婆供養をして来ました。幾体もです。

 

 ある冬の寒い日、来山しての事。「お上人さん、今朝、明け方夢を見ました。私が狐の首巻きの様なものをして温もっています。でもよく見ると猫だったのです。」

 

 私はこう応えました。「鶴の恩返しならぬ、猫の恩返しですね。Sさん」

 

「そんな事があるんですね」

 

 日蓮聖人は、「丈六の卒塔婆をたてて、其面に南無妙法蓮華経の七字を顕しておはしませば、北風吹けば南海の魚族(いろくず)その風にあたりて大海の苦しみを離れ、東風きたれば西山の鳥鹿その風を身に触れて、畜生道を免れて都卒の内院に生まれん」(中興入道消息)

と、卒塔婆供養の功徳を述べておられます。

 

岩手県布教師会長・善慶寺住職・三浦恵伸

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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